国語3(光村図書)p198「誰かの代わりに」鷲田清一
「自分にしかないものは何だろう。」
本文の始めの一行であるこの問いを、自問したことのある人は少なくないのではないだろうか。
教科書の後半に息をひそめるこの文章「誰かの代わりに」は、哲学者である鷲頭清一さんが、中学生の皆さんへ送る「哲学入門」だ。
自分の価値とは何だろう。人とは違う服装や髪形?「いいね」の数?足の速さ?学校の成績?自分の価値を目に見えるものや、他者に求めて常に人の目を気にしてしまうことって結構苦しかったりする。
著者は言う。では、自立するのはどうだろう。同時に「誰も独りでは生きられません」とも言う。
誰かを支えるために、まず自分の足で立つこと。誰かのピンチに動けるよう、普段から自分のことは自分でできるようにしておく。誰かの代わりになれる、誰かが代わってくれる。皆がそんな関係を築けたら、代わりのきかない自分になれそうではないだろうか。
時間のあるこの時期に、この文章と一緒に自分について深く考え、「哲学入門」してみるのはどうだろうか。